こんにちは、サワタリタツヤです。
デザイナーと聞くと、パソコンを使って印刷物やwebなど視覚的にオシャレで格好良いモノを作る仕事という印象を抱く人が多いはず。
僕自身もデザイナーとして働き始めた当初は、視覚的に良いデザインを表現する=デザイナーだと思っていましたが、これはデザイナーとしての最低条件でしかありません。
デザインという定義が変化してきている今の時代で、ただ作るという作業のみを重視していてはデザイナーとして必要とされない=生き残れなくなります。
今後デザイナーに何が求められるのか?を、デザイナーとして働いてきた僕自身の経験を元に紹介します。
上手くなるための技術面ばかりを磨かない
技術は大切だけど、それだけじゃない
「どうやったらデザインが上手くなりますか?」
デザイン系の専門学校で講師アシスタントをしている時に、生徒の方からこう尋ねられました。
生徒さんと話をしていると質問の意図は、制作ソフトの使い方や見栄えの良いデザインなど技術的なことでした。
”デザイン=作る“という意識からデザイナー(初心者の方は特に)は制作ソフトなどを用いた、技術面のスキルばかりを磨きがちです。
頭の中のイメージを表現する為に、ツールの使い方や技術は凄く大切な要素で、インプットとアウトプットを繰り返してクリエイティブ表現を磨いていくしかありません。
しかし技術は情報を伝える手段であって、デザインに本当に必要なのは“新しい視点と機会の発見”を見いだせるかです。
何それ?ってなりますよね…
下記で僕なりの意見を述べさせてもらいます。
実践的なデザイン思考は新しい機会を作ることができる
デザイナーは問題の裏側を考察する力が必要
よくデザインは問題解決だと表現されることがありますが、デザインに求めらるのは“問題の特定”だと僕は考えています。
問題の特定こそが新しい機会の発見であり、そこから初めて問題解決へと至ります。
その一例を、グラフィックデザイン案件で経験した場合で挙げてみます…
クライアントであるサルノマド社から「店舗で商品Aが売れないから、販売に繋がるようなポスターを作ってよ」という依頼がきました。
デザイナーは「来店したお客様に訴求できるポスターを作りましょう!」と提案して、制作意図は〜色味は〜ジャンプ率は〜とブラッシュアップして仕上がったデザインを納品するのが一般的な流れかと思います。
この流れ(説明のため凄く省略しています)は間違っていませんが、少し視野を広げて「なぜ、商品Aが売れないのだろう?」と理由を考えてみると様々な事が見えてきます。
- 店舗への来店客数が少ない
- ブランドの認知が弱い
- 立地が悪い(ターゲットの往来が少ない)
- 店舗の陳列が良くない など…
デザイン1つの依頼でも商品Aが売れない理由から、サルノマド社が抱えている、そもそもの問題を根本から把握し解決できるキッカケがいくつも見えてきます。
もし上記の商品Aが売れない理由が
- “店舗への来店客数が少ない”であれば、どれだけ訴求力が高いポスターを制作しても効果はありません、店舗へ来店してもらう訴求をして店舗で購入する母数を増やす必要がある
- “ブランドの認知が弱い”のであれば、改めてペルソナの再設定、ブランドを認知してもらう訴求を行う必要がる
という風に…
少し視野を広げて「なぜ〜?」と考えるだけ今まで見えていなかった問題を特定することができます。
あなたの「なぜ?」がクライアントや自分自身も豊かにする
上記の一例の様に、全体を俯瞰的に見ることで問題を特定でき、訴求方法の選定やアクションの優先度など問題解決のための最善策が見い出せるようになります。
これが、クライアントとデザイナーの双方に豊かさを生み出します。
企業やブランドなどクライアントにとっての豊かさ
- クライアント自身が気付いていない問題の特定を見出だせる
- 問題の特定は成長のための新しい機会となる
- 1つの問題から広い視野を持つことで、既存顧客のリピート・新規顧客開拓を分けて訴求ができる
- 全体を見渡し改善を行うことで、単発での訴求ではなく長期的な広告戦略をイメージしやすい
- 更にファンを増やし企業やブランドの長期的存続が可能 など…
クライアントの社内事情のことだから…と思わず、社外の人間として関わったアナタだからこそ気付く「なぜ?〜」という広い視野が必要です。
アナタの小さな、なぜ?から生まれた、問題の特定が消費者にとって魅力的な企業ブランドに成長するための機会となり、様々な視点からの問題解決はクライアントの存続と利益という豊かさに繋がります。
デザイナーにとっての豊かさ
- 「なぜ?」を癖付けると今まで見えていなかった問題特定ができるようになる
- 問題の特定から解決策の提案が出来るデザイナーはライバルに差をつけられる
- 業種関係なく制作において客観的な視点でのクリエイティブ表現が身につく
- 問題特定・改善策のストックが貯蓄されていき制作スピード×クオリティの向上
- 業務時間の効率化が図れるので、残業などを抑えてプライベート時間の確保が可能 など…
デザイナーは目に見える成果物で評価されることが多いですが、そこに至るまでの過程であるクライアントとの関係性や問題を特定する広い視点で、業務の効率化やクオリティー向上は実現可能です。
クライアントからの信頼を得られれば、単発案件で終わらない継続的な関係を築けます。これは安定的な収入=金銭的な余裕と、制作業務の効率化=プライベート時間の確保など心の余裕が生まれ、デザイナーとしてのレベルを上げながら次のステップへと自分を進めることが出来ます。
普段は関わらない業種においてのインプットは凄く大きな力になりますので、デザイナーであるアナタの「なぜ?」という一歩引いた考え方で目の前の出来事を見る癖をつけてみて下さい。
まとめ
自信を持って自分ならではの「なぜ?」を重ねよう
僕の経験を元に、今後デザイナーに求められるデザイン思考を紹介しました。
「なぜ?」という考え方を癖付けることが、問題の特定から改善策の考察を効率よく行うことで、クライアントのみならずアナタ自身をも豊かにすることができます。
考えることなのでお金はかからないし、100%の正解は無いので“アナタならではの自信を持った、なぜ?”を普段から重ねていくことが、今後求められるデザイナーとして活躍するためのステップとなります。
クライアントも自分も豊かに、サワタリタツヤでした。